院長コラム
Column
みなさんこんにちは。
かんやまクリニック院長の完山です。
多くの内視鏡医は病変をみつけるために内視鏡検査を行っています。
特に早期癌を見つける事に。
私もその一人で、早期癌を見つけた時は
“やった”
と思い、不謹慎ではありますが、
“こんなにたくさんの早期癌をみつけた”
と内心誇らしく思っていました。
確かに早期癌を発見することは、その患者さんの予後を左右する大切なことであり、そのために知識を深め、技術を磨くことは内視鏡医にとっては必要不可欠であります。
しかし最近、内視鏡検査にはもう一つ重要な役割があることに気付きました。
それは病変がないという事を証明することです。
実際に癌が見つかる患者さんは少数で、大多数の患者さんは異常がありません。
ですから検査が終わると患者さんに “異常ありませんでしたよ” と告げます。
その時、患者さんはそれまでの不安な表情がぱっと明るくなり、
“よかった~”
とほっとされます。
中には涙ぐむ方もいらっしゃるぐらいです。
この異常がないという一言がどれほど患者さんに安心感を与えることか。
一気に不安が解消され、調子がよくなったという声をたくさん聞きました。
どんな薬よりも効果があるんだと思います。
なにを隠そう私自身もその一人です。
私が初めて胃内視鏡検査を受けた時です。
もう5年ぐらい前ですが、何となく胃の不快感があり、変だなと思っていましたが、すぐよくなるだろうと思って様子をみていたのですが、だんだん食欲が落ち、体重が落ちてきました。
それから
“あれっ、大丈夫かな”
と不安がでてきたのです。体重はさらに減って、2カ月で5kg落ちてしまいました。
“これはやばい、胃がんじゃないのか?”
と不安が強くなり、食欲もさらになくなり、体重も減りつづけます。
“これは検査を受けるしかない”
という事で初めて検査を受けたわけです。
そして結果は・・・・
“異常ないよ、先生”。
それまで生きた心地がしなかったのですが、これを聞いてから本当にうその様に調子がよくなり、体重もあっという間にもとに戻ったのです。
(今ではややメタボの手前です。)
病変を発見するだけでなく、異常がないということを証明してあげること、これが内視鏡検査のもう一つの大きな役目なのです。